子宮がん・卵巣がん

がんの初期は症状が出にくいものです。近年、若い人でもかかるがんが増えてきました。がん治療には早期発見が重要ですが、女性特有のがんである子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんおよび乳がんでは、早期発見が難しい場合があり、その発見には病理学的検査、超音波検査などの高度な経験と技術が必要となります。

当クリニックでは、産科婦人科学会専門医、超音波専門医、婦人科腫瘍専門医、がん治療認定医、細胞診専門医、検診マンモグラフィー読影認定医、乳腺超音波認定医などを取得し、慶應義塾大学病院をはじめ高次医療機関で20年以上にわたり多数の婦人科がんを診療してきた医師が中心となり、診断・治療・フォローアップを実施させていただきます。

子宮頸がん

子宮頸がんは子宮頸部(子宮の入口)にでき、子宮がんの8割以上を占めています。20歳代から徐々に増えて40~50歳代に多く発生します。子宮頸がんはウイルス(HPV)が原因となることが明らかになっています。このHPVは性交渉によって感染し、初めて性交した年齢が低い人や、多くの性交相手がいる人に多いといわれます。また喫煙、ピルの服用、遺伝的素因なども関与しているとされます。頻度の高い症状としては、不正出血、帯下の増量で、進行すると下腹部痛、腰痛、下肢痛や血尿、血便、排尿障害などが出現しますが、子宮頸部細胞診で早期発見が可能です。最近ではハイリスクHPVの有無を判定する方法も開発され、予防ワクチンも導入されました。

子宮頸がんをよりくわしく

子宮体がん

子宮体がんは子宮内部(子宮の奥)にでき、50~60歳代の閉経期以降の方に多く発生します。また、妊娠・出産回数の少ない人や、妊娠・出産をしなかった人に多くみられます。その他、肥満、遅い閉経年齢(53歳以上)、糖尿病、高血圧も危険因子です。さらに、乳がんや大腸がんの既往のある人は子宮体がんになる危険が一般より高いとされています。

がん細胞が成長する要因として卵胞ホルモンの過剰状態が考えられています。もっとも多い症状は不正出血で、その他、漿液性帯下(しょうえきせいたいげ:水っぽいおりもの)、血性帯下(血液の混じったおりもの)や下腹部痛があります。診断のためには、子宮のなかに細い器具を入れて子宮内膜の細胞診を行いますが、頸がん検診に比較すると診断精度は低く、また強い痛みをともなったり子宮への感染を引き起こしたりする場合もあります。

子宮体がんをよりくわしく
院長取材記事
ジネコ「最近の子宮体がん検診事情って?」 2018年
サンデー毎日「子宮体がん・痛い内膜細胞診は必要か」 2017年
ママテナ「意外と知らない!子宮体がん検診を受けるタイミングは?」 2016年
ママテナ「ママの子宮全摘手術・その判断基準は?」 2016年
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卵巣がん

原因ははっきりしませんが、家族に卵巣がんになった人がいる、妊娠回数が少ない、出産経験がない/少ない、授乳経験がない/少ない、乳がんを経験した、肥満、排卵誘発剤の使用、ホルモン補充療法の長期使用などが関連していると考えられています。特徴的な自覚症状はなく早期発見は困難です。下腹部にしこりを触れたり、腹部の張った感じや圧迫感を訴える場合もありますが、このようなときはすでに、がんが進行してしまっていることも少なくありません。子宮がん検診のときに偶然発見されることもあります。子宮頸がんや体がんと異なり検診方法は確立されておりませんが、近年、将来がん化する可能性のある卵巣腫瘍が明らかになりつつあります。

卵巣がんをよりくわしく
院長取材記事
ジネコ 「知っておきたい 卵巣チョコレート嚢胞とがん」 2017年
からだにいいこと 「子宮体がん・卵巣がん」 2016年