卵巣がん

卵巣がんは、卵巣に発生したがんです。卵巣がんと診断される人数は、1年間に100,000人あたり約14人です。40代から増加し、50歳代前半から60歳代前半でピークを迎え、その後は減少します。卵巣がん発生のしくみは解明されておらず、複数の要因が関与しているといわれています。最近のトピックスとして卵巣がんの約10%は遺伝的要因によるものと考えられており、BRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子変異があると、リスクが高くなることがわかっています。ほかには、排卵の回数が多いと卵巣がんになりやすいと考えられているため、妊娠や出産経験がない場合や、初経が早く閉経が遅い場合は発症するリスクが高くなる可能性があります。ちなみに低用量ピルは排卵を抑制するので、服用者では卵巣がんの罹患率が低いとされています。

症状

卵巣がんはサイレントキラーと呼ばれ、はじめはほとんど自覚症状がありません。下腹部のしこり、おなかの張り、頻尿、食欲低下などの症状で受診することが多いのですが、このようなときにはすでにがんが進行していることも少なくありません。これら気になる症状がある場合には、早めに受診することをおすすめします。

予防法

卵巣がんは子宮頸がんや子宮体がんと異なり、その発生過程は不明な点が多いです。したがって確実な予防法はありません。これまでの研究では禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれていますが、いずれも決定的なものではありません。子宮頸がんのように予防ワクチンなどはありません。上述しましたBRCA1遺伝子あるいはBRCA2遺伝子変異がある方には、卵巣卵管の予防的切除を推奨する場合もあります。またチョコレート嚢胞はサイズが大きくなるほど、年齢が高くなるほど発がんのリスクが上昇しますので、これらの因子を総合的に判断して手術をおすすめする場合もあります。

どんな人に多いか?

一般的には、長期エストロゲン製剤投与、肥満、未産婦、早発初経・遅発閉経、不妊治療既往者に多いとされています。遺伝性のものもあり、遺伝性乳がん卵巣がん症候群と呼ばれ、血縁者に卵巣がん、乳がんの多い方は注意が必要です。

検査方法

卵巣がんに関しては科学的に根拠のある検診方法が確立されていません。卵巣がんは子宮がんにくらべて発がんの過程など不明な点が多く、定期的な検診を受けていても必ずしも早期発見できるわけではありません。一方、日常の診療で経膣エコーにより卵巣がんが早期発見されることはまれに経験され、また卵巣を詳細に観察する事で、卵巣腫瘍の有無、将来のがん化の可能性についても予測できることがあります。日本超音波医学会では、卵巣腫瘍をエコーパタンで6分類し、悪性腫瘍の確率はI~III型:3%以下、IV型:53%、V型:70%、VI型:31%と報告しています。急激なおなかの張りや痛みなど、気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することをおすすめします。

治療

治療の主体は手術療法、化学療法(抗がん剤)、分子標的治療、の3つを単独、もしくは組み合わせて行います。当クリニックは治療施設でないため、詳細な治療の情報につきましては、「国立がん研究センター」の情報をご覧ください。