月経(生理)の悩み

毎月の月経(生理)は妊娠するための準備です。しかし、この月経が原因のトラブルに悩む女性は少なくありません。下記のような症状がある方は一時的な対処ではなく、根本的な改善を考えましょう。当クリニックでは西洋医学をベースに、漢方専門医による東洋医学を併用して解決にあたります。

月経困難症

誰にでも多少の月経痛はありますが、生活に支障があるほどの痛みがある場合を月経困難症と呼びます。主な症状は強い下腹部痛や腰痛で、悪心、嘔吐、下痢、頭痛などのさまざまな不快な症状をともなうこともあります。月経困難症は、「機能性月経困難症」と「器質性月経困難症」とに分けられます。

機能性月経困難症:
とくに病気はないものの、子宮の未成熟や形などが原因です。子宮がまだ未成熟で血液を外へ排出するために子宮が過剰に収縮することが大きな原因といわれています。初経後2~3年より始まり、症状は月経の初日および2日目頃が強く、15~25歳の若年者に多いです。加齢とともに軽減し、出産などを機に症状が軽快することが一般的です。治療としては痛み止めによる対症療法か、漢方やピルを選択するのがよいと考えられます。
器質性月経困難症:
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などが原因となっています。好発年齢は30歳以降で、月経前4~5日から月経後まで持続することが多いです。腰痛、排便痛、性交時痛などを伴うこともあり、月経以外の時期にも症状を認めることがあります。検査や治療を行いながら、原因に応じた治療を実施します。
トピックス
最近、若年者で月経痛が強い女性は、将来、子宮内膜症が発症するリスクが高いことが報告されています。低用量ピルは子宮内膜症縮小効果がありますが、若年者で生理痛が強い女性に早期に低用量ピルを使用することで、将来の子宮内膜症の発症や重症化を予防できる可能性が示唆されています。これまでは子宮内膜症の治療は発症した病変に対する治療でしたが、今後は子宮内膜症の発症と重症化予防の観点からの治療に発展していくとされています。

月経量の異常

月経過多は、30分おきにナプキンを交換するような場合や、8日以上出血が続く場合、またレバーのような大きな血の固まりが混ざる場合を指します。子宮筋腫などの病気が存在することがあり、貧血をきたすこともあります。 月経過少は、月経が2日以内で終わる、ナプキン交換の必要がないなどで、子宮やホルモンの異常の可能性があります。
子宮筋腫子宮内膜症が原因となっていることもありますので、検査をおすすめいたします。

月経前症候群(PMS)

月経前になると「イライラする」「気分が沈んでしまう」「からだの具合が悪くなる」などの経験はありませんか?「月経開始の3~10日前から始まる精神的・身体的症状で、月経開始とともに減退ないし消失するもの」を、月経前症候群(PMS: Premenstrual Syndrome)といい、約80%の方がこのような経験をしているといわれます。このような症状が日常生活に影響を与えるようであれば、治療を考えましょう。

月経前症候群(PMS)をよりくわしく

月経不順(卵巣機能不全・多嚢胞性卵巣症候群)

月経不順に関する悩みをお持ちの女性は多いと思います。月経不順と一言でいっても、月経期間の長さ、周期の長さ、周期がバラバラで一定しないなど、悩みの内容や原因もさまざまです。月経不順はホルモンが関連していることもありますが、必ずしも治療は必要ではなく、病状をしっかりと評価し、適切な対応をすることが大切です。基礎体温表の作成は、月単位の卵巣機能を評価するのに非常に役立ちますので、お悩みの方は基礎体温表をつけることをおすすめします。

月経不順をよりくわしく

※基礎体温表は以下のサイトからダウンロードできます。
https://www.kao.co.jp/laurier/original/index.html

不正出血

不正出血とは「性器からの出血で月経時以外に出血すること」です。原因として、ホルモンバランスの崩れ、炎症、妊娠、外傷、腫瘍などが考えられます。排卵日前にも出血することもあり、必ずしも異常というわけではありませんが、子宮がんなど悪性のものが隠れていることもあります。

月経移動(月経を早める、遅らせる)

「旅行や結婚式など大切な予定と月経の予定日が重なるので周期をずらしたい」そんな時はホルモン剤の服用により月経を移動することが可能です。月経を早める方法と遅らせる方法の2種類があります。

低用量ピルを服用されていない方

月経を早める方法:
この場合月経がきてから1週間以内の受診が必要です。月経開始後3~7日目より10~14日間薬を服用すると服用終了後2~5日で月経が始まります。しかしまれに服用後1週間以上たっても月経がこない場合もあるので必ずしも確実とはいえません。
月経を遅らせる方法:
予定月経の4~7日前より薬を飲み始め、遅らせたい日程の最終日まで飲み続けます。服用終了後2~3日で月経が始まります。1~2日後にくる予定の月経を遅らせることはできませんし、また3週間以上遅らせることも難しいですが、より確実な方法といえるでしょう。
費用
3,300円 + 90円/錠 × 日数(診察料含む)

低用量ピルを服用されている方

すでに低用量ピルを服用されている方は、低用量ピルを使用して月経を移動させることが可能です。服用されているピルによって方法が異なりますので、クリニックまでご相談ください。ただし急な移動はできないこともありますので、移動したい月経予定日の最低1週間前までにはお越しください。

別途相談料
1,250円(当クリニックで処方)~3,200円(他所で処方)

以下の点にご注意ください!

  1. 1)月経は急には変更できません。お早目にお越しください。
  2. 2)月経移動は、最終月経と月経周期から次の月経の日を予測してお薬を服用していただきます。したがって①最終月経、②月経の周期、③月経をずらしたい時期 の3つの情報が必要です。
  3. 3)よく携帯アプリなどで次の予定月経を予測されている方もいますが、その方の月経周期によっては不正確な場合もありますのでご注意ください。
  4. 4)来院される時期によっては月経移動ができない場合もあります。この場合も、別途相談料(1,250~3,200円)が必要となります。
  5. 5)薬の反応には個人差があり、月経移動がうまくいかないこともあります。ご了承ください。